NEW STANDARDなもの選び Vol.4

NEW STANDARDなもの選び

「日本の夏はとんでもなく暑い。ぼんやりしていると夏に負けてしまう。だからこそ楽しむための準備が必要なんです」と語るエディター坪田あさみさん。
コーディネート次第で今の時期からすぐに使えるものを少しずつ買い揃えておけば、湿度の高いうだるような暑さも楽しみに変えられる。
そんな坪田さんの夏アイテムの選び方とは?



vol.04
「服を変えれば、夏も変わる。」

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「死ぬまでにあと何回、夏を楽しむことができるだろう?」と思うことがある。「何回桜を見られるだろう?」とか「何回花火を見られるだろう?」と。
 40代になるとそうしたことがそれほど残り多くないことに気付く。人生は何が起こるか分からないから、思った以上に少ないかもしれない。実際、コロナ禍だった昨年は海も開かず、花見もできず、花火も上がらなかった。

 海のそばに住んでいるからかもしれないが、私の場合「夏を楽しむ」ことは1年のうちでもかなり重要なイベントのひとつだ。その一方で、私のようなファッション誌に携わっている人間は、なかなか意識しないと夏を楽しめないのも事実。というのも夏は秋冬物の立ち上がりの10月、11月号を製作する繁忙期と重なり、真夏の太陽が照りつける中、モデルにダウンコートを着てもらい街ロケをしている毎日だから、頭の中は冬のことでいっぱいなのだ。そうこうしているうちに短い夏はあっという間に終わってしまう。

だからこそ私は意識的に「夏を楽しむ」準備を今の時期から始める。暑くなるのが楽しみになるようなコーディネートと、ワクワクするような休日プランを手帳に書き込む。すると暑くなるのを今か今かと待ちわびるようになる。暑さに対するネガティブな感情はどこかへ行ってしまうほど、夏そのものがビッグイベントとなるのだ。

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大容量にも関わらず超軽量のメッシュトートはまさに大人向けの夏バッグ。メッシュはもちろんレザーのパイピング部分も汚れたら自宅でも洗える夏に最適な機能性。街中ではもちろん海や山、ホテルのプールなどへも持って出かけたい。

そんな私が毎年必ず新調するのは、肩や背中が露出するワンピースやコンビネゾン。体にぴったりせず涼しく着られるデザインを選ぶのはもちろん、リゾート感があるものの方が夏気分も盛り上がる。
 今年選んだのはリネン素材のコンビネゾン。肩ひもが細く女らしいキャミタイプで、ウエスト周りがゆったりしていて涼しい。海や山などアウトドアでバーベキューをするなんて時にも野暮にならない背中の開き具合がちょうどいい。

日焼けを避けたいならゆったり羽織れるビッグシャツや大判のリネンストールも用意しておきたい。アウトドアだけでなく室内や移動時などの冷房避けとして幅広いシーンで活躍するのもうれしい。
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レザーとのコンビネーションが小粋。夏の定番素材であるかごバッグは、プレイフルなデザインで変化をつけて。夏の夜のお出かけにもちょうどいい。

さらに夏らしさを演出する小物類も重要だ。普段街中で使っているようなかっちりとしたレザーバッグは夏の強い日差しに似合わない。メッシュ素材の濡れてもすぐに乾く軽やかなビッグトートや、ラタンとレザー素材を組み合わせたプレイフルなミニバッグなど、天然素材やスポーティさのあるものの方が見た目も涼しげで、使っていてストレスがない。

そしてもうひとつ欠かせないのが水着のチェック。着たい水着を用意しておけば、休日に海やプール、スパなどに出かけるきっかけにもなる。最近は大人向けのカラーや素材、体型カバーも考慮されたしゃれたデザインのものがたくさんある。水着の上にビッグシャツを羽織ったり、ラップスカートなどをプラスしても相性がいい。水着としてだけでなくヨガウエアとしても使えたり、普段の着こなしにインナーとして取り入れることができるものも増えている。

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リブニット素材のスイムウエアのブラトップは、露出の多いワンピースやコンビネゾンのインナー使いにしたり、透け感のあるシャツに重ねても便利。夏小物は色のトーンを揃えておけばどんな服にも合わせやすい。

うだるような暑さも「夏を楽しむ」ためのファッションがあればむしろウエルカムな気分になる。「あと何回、夏を楽しみに準備ができるだろう?」。
妄想するところからすでに私の夏は始まっている。

参考アイテム


    PROFILE
    坪田 あさみ(Asami Tsubota)

    出版社勤務を経てフリーのエディター・ライターとして独立。『Marisol』『éclat』(共に集英社)などの女性ファッション誌をはじめ、書籍、カタログ、webコンテンツなどの編集・ライティングに広く携わる。他にコラム執筆、トークショー登壇など活躍の幅を広げる。 Instgram@asamit1201

TEXT・STYLING・MODEL/ASAMI TSUBOTA
PHOTO/MAKIKO OBUCHI
HAIR&MAKE-UP/MAMI NUMATA(ilumini)