NEW STANDARDなもの選び

「着たい色、似合う色は年齢や時代によって変化しますが、ずっと変わらず親友のように寄り添ってくれる色、それがネイビーです」とエディター坪田あさみさん。
今回は色から考える新しいもの選びの視点をご紹介します。



vol.03
「ニュートラルで知性が宿る色」

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年齢を重ねるにつれて似合う服や選ぶ服は変わってくるが色も同様だ。若い時に苦手と思っていた色に急に目覚めることもある。例えば私の場合それはピンク。若い頃からフェミニンな服に興味がなく、メンズライクなものやトラッドであることがおしゃれのベースだったので、若い女性向けに作られるピンクの服の甘さがどうしても好きになれなかった。

ところが40歳を過ぎた頃から急にピンクにばかり目が行くようになった。その理由は可愛いイメージに限定されないさまざまなデザインや素材にピンクが使われるようになったことが大きい。
例えばマニッシュなパンツに淡いサクラピンクのリネン素材が使われていたり、ざっくりとしたカジュアルなコットンニットに強いフューシャピンクが使われていたり。

つまり「ピンク=可愛らしい」という固定観念から逸脱した服が多く生まれたからこそ、苦手だったピンクに挑戦できるようになったのだと思う。そして年を重ねたことで自分の中に存在していた若さゆえの「天然の可愛げ」みたいなものが少しずつ薄れ、ピンクを着ても全く甘く見えなくなった。人によってはそれは寂しいことかもしれないが、私にとってはおしゃれの幅が広がるうれしい発見でもあった。

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着回しに悩んだらネイビーを合わせればいいから、ワードローブには何枚あっても困らない。黒よりも優しい印象だから、成熟した大人の女性の定番カラーとしてストックしておきたい。



ピンクのような「ある特定のイメージが染み付いた」色というのはそれを打破する時間の経過や世の中の変化が必要だが、それなしに七変化し続ける色がある。それがネイビーだ。

例えばママ向けのセレモニー需要などで作られる服は大昔から変わらず大抵ネイビーであり、保守的な上品さや知的であることがそこに表現されている。一方ミリタリーのような服にもカーキ同様ネイビーは多様されていて、メンズライクでラフなカジュアルさにも欠かせない色である。
つまりネイビーという色はニュートラルで振り幅が大きい。そして着る人のキャラクターやヘアメイク、合わせる小物によっても印象は大きく変化する。

同じようなベースカラーに黒や白があるが、黒や白は実はとても個性の強い色である。それと比較するとネイビーは悪く言えば無難なのだが、それゆえに合わせる服や色、シーンさえも限定されず、あらゆる年齢や職場など社会性までもクリアする万能カラー。見え方も印象も全く変わりながらも常に知的さも感じさせる色でもある。

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ビッグシルエットのリネンシャツは少し襟を抜いたり、袖をたくし上げて、しなやかな素材にはないメンズライクなムードでざっくりと着たい。

ゆえに私は服を買う時「迷ったらネイビー」という言葉を信じている。主役だけでなく脇役としても活躍してくれるオールラウンダーでもあるから。

例えば夏を前に私が手に入れたこのリネン素材のシャツとスカートのセットアップはそのいい例だろう。セットで着用すれば、ワンピースのように主役にもなる存在感があるが、シャツとスカートを別々にして単体でももちろん着回しやすい。個性を主張しすぎないからこそ、合わない色やアイテムを見つけることの方がむしろ難しいバイプレイヤー。肌の色によって似合う似合わないという議論も聞いたことがない。そんな色はネイビー以外におそらくない。

いつの時代も親友のように寄り添い、その時々の自分のマインドに引き寄せることができる色。ピンクを着なくなる日はいつか来るかもしれないが、私のワードローブからネイビーがなくなる日はおそらく来ないだろうと思う。

着用アイテム

参考アイテム


    PROFILE
    坪田 あさみ(Asami Tsubota)

    出版社勤務を経てフリーのエディター・ライターとして独立。『Marisol』『éclat』(共に集英社)などの女性ファッション誌をはじめ、書籍、カタログ、webコンテンツなどの編集・ライティングに広く携わる。他にコラム執筆、トークショー登壇など活躍の幅を広げる。 Instgram@asamit1201

TEXT・STYLING・MODEL/ASAMI TSUBOTA
PHOTO/MAKIKO OBUCHI
HAIR&MAKE-UP/MAMI NUMATA(ilumini)