NEW STANDARDなもの選び

「時代の変化とともに変わらない軸と、変わっていくことを受け入れるしなやかさ。素敵と感じる人はそのバランスが絶妙」と語るのは
多くのファッション誌でエディターとして活躍する坪田あさみさん。
週一回更新される全4回の連載コラムでは、今シーズン注目する一品とともに“おしゃれの先にある何か”について綴ります。



vol.01
「美しく、そして心地よく揺らめくパンツ」

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コロナ禍を経て世の中がより心地良いものを求めるエフォートレスな傾向になる中で、着るものだって例外じゃない。
可愛いけれど疲れる服や我慢して履く靴は全く気分じゃない。そういうマインド自体とても古臭く感じてしまう。無理せず力を抜いて深呼吸。自分は自分、それ以上でも以下でもない。
そう思いながら服を選んでいる自分にある朝気づく。

そんな私が今最も手にすることの多いアイテムが、パジャマのように楽で着心地最高なこんな柄パンツ。こう言ってはなんだけどまるで何も履いていないように軽い。ウエストはゴムになっているから、食べ過ぎたって寝転んだって平気。夏の暑い日には涼しいことこの上なし。
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ウエスト部分のゴムはデザインの一部になっているので、トップスをインにしても美しい。ギャザーをほどこすことで、お腹まわりも自然とカバーしてくれる。

でもこのパンツの素晴らしさはそれだけじゃない。何よりこの素敵な色と柄に心が踊る。落ち感のある上質な素材に、インクを垂らしたように広がる抽象的な柄とニュアンスのある色の重なり。ほっそりとした繊細なラインがサイドにほどこされ、ゆらゆらとあいまいに漂うさりげなさ。はぁ、美しい。なんて絶妙な。

このパンツがあれば、着古したルーズなTシャツや去年買ったリネンコートも、もちろん今年買ったナイロンブルゾンだって全部しゃれたムードに受け止めてくれる。足元はスポサンでもトングでもスニーカーでも、力の抜けたクールなたたずまいに仕上げてくれるに違いない。
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アイロンをかけてパリッとさせたリネンシャツを合わせて全身を淡いベージュのワントーンに。レザーをあしらったかごバッグがモダンさをプラスし、都会で楽しむリゾート感を演出してくれる。

何かのための無理をしたり良く見せようとしなくていい。先のことに不安になるのも時間の無駄だ。閉塞的な状況が続く毎日にこそ必要なのは、健やかに笑っていられる、少なくともそんな気分にさせてくれる服なのだと思う。

    坪田 あさみ(Asami Tsubota)

    PROFILE出版社勤務を経てフリーのエディター・ライターとして独立。『Marisol』『éclat』(共に集英社)などの女性ファッション誌をはじめ、書籍、カタログ、webコンテンツなどの編集・ライティングに広く携わる。他にコラム執筆、トークショー登壇など活躍の幅を広げる。 Instgram@asamit1201

TEXT・STYLING・MODEL/ASAMI TSUBOTA
PHOTO/MAKIKO OBUCHI
HAIR&MAKE-UP/MAMI NUMATA(ilumini)